舌下免疫療法とは
舌下免疫療法は、スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の根本治療として、アレルゲンを少量ずつ舌下投与することで、体質を改善していく治療法です。
1日1回1錠ずつ服用することで身体を徐々に慣れさせ、アレルギー反応が起こらないあるいは起こったとしても症状が軽微で済むようにする効果が期待できます。
舌下免疫療法のメリット
①体質を根本から改善する
一般的なアレルギー性鼻炎の治療法は、くしゃみや鼻水、せき、目の腫れやかゆみといった、すでに発症しているアレルギー症状を軽減する目的があります。それに対して、舌下免疫療法は根本的な体質改善によって、アレルギー症状そのものが起こらないようする、あるいは発症しても軽微な程度に抑え込むことができます。アレルギー症状がなくなればQOL(生活の質)の改善が期待できます。
②自宅で治療ができる
舌下免疫療法は、舌の下に薬を置いて、しばらくそのままにしてから飲み込むという治療法で、誰でも簡単にできます。そのため、初めての服用の際は医師の監督下で行うため通院が必要ですが、二回目からの服用は自宅で継続治療することができます。
ただし、経過観察のために定期的にクリニックに通院する必要はあります。
③保険適用である
舌下免疫療法は保険適用の治療となるため、自己負担金を少なく抑えることができます。
④5歳以上の子どもも治療できる
舌下免疫療法は5歳以上65歳未満の方が治療対象です。アレルギー原因物質を特定するために血液検査を行うことが必要になりますが、小さいお子さんでもスギ花粉症・ダニアレルギー性鼻炎の治療が可能です。
また、「子ども医療費助成制度」の対象にあたります。乳幼児・子ども医療証が必要になるので事前に申請しておきましょう。
舌下免疫療法のデメリット
①長期間の治療が必要
舌下免疫療法の薬の服用は毎日、平均的に3年~5年ほど継続する必要があります。途中で薬を飲むのを忘れてしまったり、次の薬の処方を受けていなかったりして断薬期間があると、また最初から治療を開始しなくてはいけません。
②副作用が起こる場合がある
舌下免疫療法で使用されている薬には、副作用を起こす可能性があります。
唇や口の中の腫れ、かゆみ、のどの違和感、耳のかゆみなどの症状を訴える患者さんがいらっしゃいます。
重大な副作用として、アナフィラキシーショックが引き起こされる恐れがあります。アナフィラキシーショックが生じる頻度は非常にまれですが、まず医師の監督下で投薬を行うのはこうしたリスクに対応するためでもあります。
治療を開始する時期
スギ花粉症アレルギーの治療の場合は、スギ花粉を少量含む薬を使用するため、スギ花粉が飛散していない時期に治療を開始します。具体的には5月から12月上旬までが新規治療の受付期間となります。
ダニアレルギー性鼻炎は、特に季節性のものではないため通年で治療を開始することができます。
FAQ
どんな人が対象になりますか?
・5歳以上の方
・妊娠や授乳をされていない方
・口腔内に重度のアレルギー症候群や傷・炎症が無い方
・血液検査でスギまたはダニによるアレルギー性鼻炎である方
・重度の気管支喘息の方、がんや免疫系の病気がある方は治療できないことがあります
詳細は御相談下さい。
副反応にはどのようなものがありますか?
舌の下側に投与するため、舌の腫れや口の中や喉のかゆみがでることがあります。
また、非常に稀ですが、アレルギー物質をを体内に服用する為にアナフィラキシーショック(じんましんや腹痛、嘔吐、呼吸困難、意識混濁)の可能性があります。
そのため1回目の投与は安全のために院内で行います。
費用はどのくらいかかりますか?
健康保険での診療が可能です。
初回は必要検査の内容によりますが、3割負担の場合、約4,000~5,000円です。
その後の定期的な通院の費用は他の治療や薬の処方がない場合には、当院での治療費と調剤薬局での薬代と合わせて1ヵ月あたり約2,000~3,000円のご負担となります。